痴漢の刑事弁護 – 逮捕・検挙されたら弁護士にご相談を
このコラムの目次
1.痴漢の形態
痴漢にも様々な形態がありますが、ここでは、電車内の痴漢について、痴漢を行ったらどうなるのかをお話したいと思います。
痴漢は、通常は身動きが取れないほど混雑している満員電車の車内で、近くの女性に近寄り、お尻や胸、あるいは下半身を触る態様が多いです。
下半身を触ると言っても、スカートなどの衣類の上から触る場合と、スカートの中に手などを入れて、更に下着の中に手を入れて直接触る場合とがあります。
前者のような通常の痴漢は迷惑行為防止条例違反となりますが、後者の下着の中に手を入れる行為は極めて悪質であり、強制わいせつ罪に該当します。
では、混雑で押されたことで近くの女性に身体が押し付けられ、手がお尻に振れてしまったが、そのまま触れ続けたという場合はどうでしょうか。
このような行為も(手がお尻に触れたこと自体はやむを得ないのですが)すぐに手を退けずに触れ続けたことは痴漢行為に当たります。
以上に加えて、少なからず発生しているのが、泥酔して女性の体に触ってしまったという痴漢です。
泥酔していたから故意はないとも言えますが、触ったことが事実であればその時点では意識があったと検察官や裁判官は受け止めるものですから「泥酔していて覚えていない」という主張は通用しません。
2.痴漢をしたら必ず逮捕されるか
痴漢には、先ほど述べたように迷惑行為防止条例違反に当たる軽微な痴漢と、強制わいせつ罪に当たる悪質な痴漢とがあります。
後者の強制わいせつ罪に該当する痴漢は、通常逮捕されます。
迷惑行為防止条例違反の痴漢は、逮捕されることはあまりないですが、容疑を否認したり、ストーカー的に同じ女性に痴漢行為を繰り返したりしていた場合は、逮捕されることが多いと言えます。
3.痴漢をしたら弁護士に依頼するべき
迷惑行為防止条例違反の程度の軽い痴漢であれば、弁護士に依頼しなければ、正式裁判を省略した略式裁判による罰金刑になります。
しかし、罰金も前科になります。罰金刑を受けたこと自体はマスコミ報道がなければ会社などにはわかりませんが、海外出張や駐在など何らかの折に罰金刑を受けたことが会社に発覚することがあり、そうなれば、最悪の場合懲戒解雇も有り得ます。
また、国家資格をお持ちの方は、罰金刑を受けると監督官庁に検察庁から罰金刑を科した旨が通報され、資格の取り消しや業務停止などを受けることになります。そのことで、会社に痴漢事件が発覚するでしょう。
4.痴漢で前科をつけないために
以下では、迷惑行為防止条例違反の痴漢の場合について述べます。
痴漢は、被害者が個人ですから、被害者と示談して、被害者が処罰を望まない旨を示談書に織り込んでもらえれば、初犯であれば検察官は不起訴処分とします。
では、示談はどのように進めるのでしょうか。
暴行や傷害の場合には、警察段階で、被害者の連絡先を被疑者本人に教えてくれることがあります。
しかし、痴漢のような性犯罪は、被害者のプライバシーの問題があり、また、被害者も被疑者とは関わりを持ちたくないと思っているので、警察官や検察官は、被疑者の弁護人である弁護士に限り、被害者の了解を得た上で被害者の連絡先を教えてくれます。
警察官や検察官から被害者の連絡を教えてもらった弁護士は、被害者に連絡して示談交渉を行い、数回交渉の上で示談をします。
もっとも、被害者が20歳未満ですと、法律上示談交渉の相手方は被害者の両親となりますので、示談交渉は難航することが多いと言えます。
両親としては、我が子になんということをしたのかと大変お怒りになるものですが、弁護士が誠意をもって交渉することで、ご理解いただけることも多いです。
5.痴漢で逮捕された場合
迷惑行為防止条例違反の痴漢では、否認している場合、犯行容態が悪質な場合、前科がある場合などに逮捕されます。強制わいせつ罪に該当する痴漢の場合には、通常逮捕されることが多いといえます。
逮捕されると、警察の留置場で2日前後留置され、48時間以内に検察庁に送致されます。そこで、検察官が被疑者を取り調べ、逃亡の可能性・証拠隠滅の可能性を検討して、いずれもないと判断すれば釈放されます。
しかし、逃亡の可能性・証拠隠滅の可能性があると検察官が判断すると、裁判官に対して勾留請求をすることになります。
裁判官は、検察官の勾留請求を受けて勾留質問を被疑者に対して行い、勾留要件(逃亡可能性、証拠隠滅可能性)を審理し、勾留要件を満たせば、10日間の勾留決定を下します。
そうなると、会社に痴漢事件が発覚したり、長期間の無断欠勤扱いになったりして、解雇される可能性が高くなります。
これを避けるためにも、逮捕されたら直ちに刑事弁護経験、勾留阻止・釈放実績豊富な弁護士に刑事弁護をご依頼ください。
6.痴漢事件の弁護は泉総合法律事務所にお任せください
弁護士は依頼を受けますと、警察署に出向いて本人に接見して事件概要を把握するとともに、勾留阻止、釈放に向けて意見書をはじめとする書類を作成して、検察官や裁判官に対して働きかけを行い、勾留阻止活動を行います。
多くの場合には、それで釈放してもらうことができ、会社の解雇・退学を免れます。
泉総合法律事務所は、刑事弁護に力を入れており、勾留阻止実績も豊富です。どうぞ最寄りの本支店にご相談ください。
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