刑事事件

オレオレ詐欺の刑事弁護―受け子の執行猶予判決を勝ち取った事例

オレオレ詐欺の刑事弁護―受け子の執行猶予判決を勝ち取った事例

オレオレ詐欺は未だに発生し続けており、とどまるところを知りません。

特に、実際に被害者から現金を受け取る、いわゆる「受け子」という役割については、現役の専門学校生や大学生が行うなどしており、詐欺グループの勢力が伸びていることを示しています。

受け子は警察に捕まるリスクが最も高い役割です。ですが、実態としては詐欺における報酬も少なく、詐欺グループにいいように利用されているというのが受け子の特徴です。

しかし、組織の末端である受け子についても、警察・検察・裁判所のいずれもが厳しい視線を向けており、それまで前科前歴がないにも関わらず実刑とされてしまうことが多々あるのです。

軽い気持ちで受け子をした人が捕まった場合、受け子もその家族も何とか執行猶予を得たいと考えるものです。

では、どのようにすれば執行猶予を勝ち取れるのでしょうか。

ここでは、オレオレ詐欺の被疑者(受け子)が、泉総合法律事務所の弁護により実際に執行猶予を勝ち取った事例について紹介します。

1.オレオレ詐欺の受け子の起訴件数

通常、受け子は逮捕されるまでの間に、何度も被害者から金銭を受け取っています。というのも、一度詐欺グループに関わってしまうと、途中で抜け出すのは容易ではありませんし、一度受け子をしただけですぐに捕まるとは限らないからです。

そのため、逮捕された受け子に弁護士が話を聞くと、通常、受け子は数回、多ければ100回程度、被害者から金銭を受け取っています。

とは言え、検察官はこれらの全てについて立件するわけではありません。

検察官としては、被害者を全て把握しているわけではありませんし、すべての被害者が協力的なわけでもありません。また、被害者が協力的でも、証拠が不十分な場合もあります。

加えて、受け子については、受け子が詐欺グループの末端であることを検察官もよくわかっていますので、特別な必要性がなければ、多くの労力を割いてすべての余罪を立件しようとするとは限りません。

他方、裁判所は、起訴された事実について刑罰を決めます。

余罪が多数ある事は情状として考慮されますが、裁判所の量刑の幅の大枠は起訴された事件によって決まります。

ですので、受け子の側としては、いかに起訴される件数を少なくできるかというのが、防御上極めて重要になってきます。

2.実際に執行猶予がついた事例

以下では、泉総合法律事務所で弁護活動を行った事件で、受け子について執行猶予がついた事案をご説明します。

(1) 事案の概要と方針

事件当時大学生だった被疑者は、受け子として被害者の家に金を受け取りに行ったところ、詐欺だと気がついていた被害者が警察に通報しており、居合わせていた警察官に現行犯逮捕されました。

逮捕直後に弁護士が接見して話を聞いたところ、被害者から実際に金を受け取った事件が2件、他に被害者の家の近くに行った事件が数件ありました。

そのため、弁護士としては、逮捕されている事件の被害者と示談することと、いかに起訴される件数を減らすかということを弁護活動の中心としました。

(2) 実際に行った弁護活動

まず、本件の被疑者は、捜査機関に対して「詐欺だとわかっていなかった。」と言っていました。

これは、逮捕当社に受け子がする弁解としてよくあるものです。というのも、詐欺グループは受け子に対して「これは詐欺だ。」と言う説明はしていないので、受け子は、実際に自分のしていることが詐欺だと確信まではしていないことが多いのです。

しかし、受け子の側でも、自分のしていることが詐欺かもしれないと言う事を、大抵の場合には考えています。

オレオレ詐欺がこれだけ広まっている世の中で、「普段着ないスーツを着て、偽名を使い、知らない者から電話の指示を受けて、知らないお年寄りから金等の物受け取る。その結果、通常のアルバイトよりもはるかに良いお金をもらう。」と言う受け子の仕事内容は、いかにも詐欺だと疑われるためです。

そのため、受け子の「自分のしていることが詐欺だと思わなかった」という弁解は、かなりの確率で聞き入れられません

そこで弁護士は、接見をして被疑者に対して、自分のしていることが全く怪しくないと思わなかったか、詐欺かもしれないと少しでも思わなかったかを聞きます。

すると、被疑者は、詐欺かもしれないと少し思ったけれども、紹介者が詐欺ではないと言っていたのでそれを信じた、ということを言うことが多いです。

本件でも、被疑者に接見した当時、まずこの点を聞きました。

すると、被疑者は「友達に今回の仕事を紹介されて、詐欺じゃないと言われていたので、怪しいと思ったけれども詐欺ではないかと思った」と言っていました。

そのため、弁護士は、「それは詐欺の未必の故意があると言うのだ。」ということを説明し、被疑者に納得してもらいました。

その上で、被疑者に余罪が何件もあることを確認し、捜査機関に対して事実を認めることにより、立件されて起訴される事件数をできるだけ減らすとともに、立件された事件について示談をしていくと言う弁護方針を策定しました。

(3) 結果

そうしたところ、早期に事実を認めて詐欺グループについて知っている事を正直に話した結果か、立件されたのは合計2件だけで、起訴されたのはそのうちの1件だけでした。

さらに、起訴された1件については被害者と示談をすることができました。

そして、裁判においては、被告人の反省等を証人尋問でしっかりと示し、最終的に執行猶予付きの判決を勝ち取りました。

この手の事件としては、考えられる最良の結果になったと言え、ご依頼者様にも大変喜んでいただきました。

弁護士としても、ご依頼者様が犯罪をした事を変えることはできませんが、その反省と再出発の手助けをできたことを誇らしく思っています。

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