松戸市において盗撮が発覚した場合の流れと刑事弁護
松戸市の刑法犯認知件数は、年々減少しています。とはいえ、平成30年も3,733件の刑法犯が発生しています(参考:松戸市の犯罪発生情報)。
痴漢・盗撮などの性犯罪は、どのような方でも「魔が差して」犯してしまうことが多い犯罪です。松戸市内だけで年間約4,000件の刑法犯が発生しているのですから、いつ何時、自分やその家族が被疑者になってしまうか分かりません。
今回は、松戸市において盗撮を犯してしまい、それが発覚した場合にどのような罪に問われるのか、発覚の後の流れと正しい対処法について解説します。
このコラムの目次
1.盗撮の刑罰
盗撮とは、公共の場所・乗り物において、無断でひとの下半身やスカートの内側を動画や静止画で撮影する行為のことです。
(盗撮しようとしてスマートフォンやデジカメやビデオを女性の下半身などに向けたが、撮影できなかったという「未遂」は処罰対象になっていません)。
(1) 迷惑防止条例違反
盗撮の処罰は各都道府県の条例によって規定されています。
松戸市は千葉県ですので、千葉県の「迷惑防止条例」、正式には「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」が該当します。
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(千葉県)
第3条2項 何人も、女子に対し、公共の場所又は公共の乗物において、女子を著しくしゆう恥させ、又は女子に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。男子に対するこれらの行為も、同様とする。
千葉県の上記条例の解釈としては、先ほどのような撮影だけでなく、離れたところから人の姿を同意なしに撮影する行為も盗撮にあたります。
現に、(松戸市外ではありますが)ショッピングモール内で女性の姿を少し離れて撮影したところを警察に通報され、罰金刑を受けた千葉県の事例もあります。
(2) 軽犯罪法違反
他方で、公共の場所でなければ、盗撮にあたる行為をしても迷惑防止条例には抵触しないこともあります。
例えば、アパートの敷地内で、女性の住むアパートの窓からビデオカメラで入浴中の姿を撮影した場合などです。
上記の撮影行為は、軽犯罪法の「のぞき見」にあたります。
軽犯罪法第1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。(略)
23 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服を着けないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
また、アパートの敷地内に入ったことが、住居侵入罪・建造物侵入罪に該当することもあります。
盗撮=迷惑防止条例違反とは限らないので、盗撮で捕まってしまい刑罰が気になるという方は、弁護士に詳しく犯行状況を説明することが必要です。
(3) 盗撮の刑罰
迷惑防止条例違反の盗撮の刑罰は、都道府県によって異なりますが、千葉県の場合は懲役6か月ないし罰金50万円となります。
また、軽犯罪法違反の刑罰は「拘留」または「科料」、住居侵入罪・建造物侵入罪の刑罰は3年以下の懲役または10万円以下の罰金となっています。
初犯の盗撮であれば罰金刑の可能性が高いと思われますが、盗撮その他の前科ある場合には、正式裁判を受けることになり、懲役刑(執行猶予付き)の有罪判決を受ける可能性があります。
2.盗撮発覚後の注意点
(1) 盗撮が発覚したら必ず逮捕されるか
盗撮の場合、発覚して警察署に連行されても、警察がそのまま逮捕することは滅多にありません。
被疑者が盗撮の犯罪事実を認めていれば、手書きで犯行について記載した「上申書」を作成すれば、身内が警察署に呼ばれてから一旦解放され、後日、供述調書を作成することになります。
しかし、否認、つまり盗撮したことを認めない場合や、鉄道警察隊などの私服刑事に逮捕された場合には、警察署の留置場に留置され、その後48時間以内に検察庁に送検されて検察官の取り調べを受ける可能性があります。
更に、否認をしている場合や犯行態様が悪質な場合には、裁判官の判断で10日間の勾留決定となることもあります。
盗撮で検挙・逮捕された方は、それが初めての盗撮ではなく、常習的に盗撮を繰り返している方がほとんどです。
警察や検察官も、多くの盗撮事件を取り扱っていますので、盗撮の被疑者は犯行を常習的に行っていると考え、スマートフォンなど盗撮に使用した機器を押収するだけでなく、家宅捜索を行ったり、任意で被疑者に自宅のパソコンなどを警察に持参するよう求めたりします。
しかし、過去の盗撮画像から被害者を特定して、その被害者から被害届を取り付けることは困難です。よって、過去の盗撮については立件はしないのが通常です。
(2) 逮捕された場合の影響と対策
上記の通り、逮捕された場合には10日間の勾留もありえます。
そうなれば、会社を長期間休まざるを得ず、欠勤を理由に解雇されてしまう可能性があります。また、盗撮の事実が会社に発覚したら、懲戒解雇を受けるかもしれません。
学生の場合は、勾留が続くことで退学となってしまう可能性もあります。
盗撮で逮捕された後の勾留では、あらゆる面で重大な支障が生じるのです。
そのような事態を避けるために、逮捕されたら早急に弁護士に刑事弁護の依頼をすることをお勧めします。
弁護士は釈放、勾留阻止に向けて、身元引受書や弁護士の意見書などを作成し、それを検察官や裁判官に提出して勾留を阻止する活動に取り組みます。
3.示談交渉を弁護士に依頼するメリット
弁護士が行ってくれる弁護活動は、勾留阻止だけではありません。
それは、被害者との示談交渉です。
盗撮の初犯の場合には、被害者との示談が成立すれば、通常不起訴となり前科はつかないでしょう。
もっとも、被害者と示談するには、弁護士に刑事弁護を依頼することが必要不可欠です。
(1) 被害者の連絡先を教えてもらえるのは弁護士のみ
まず、警察ないし検察官は、被害者のプライバシー・安全を考慮して、被疑者に連絡先を教えることは決してしません。
弁護士に限って、被害者の了解のもと連絡先を教えることになっています。
(2) 被害者の心情に寄り添い示談が可能
盗撮を始めとした性犯罪の被害者は、大きな精神的ダメージを受けており、被疑者との直接の示談交渉を拒むことがほとんどです。
よって、仮に被害者の連絡先を知った被疑者が無理に示談交渉を行おうとしても、断られてしまうか、あるいは脅迫だと言われてしまうかもしれません。
そんな被害者の方でも、示談交渉の相手が代理人である弁護士ならば、話だけでも聞こうと思ってくださることが多いです。
そして弁護士は、心に傷を負った被害者の方に寄り添いながら、被疑者の代わりに謝罪し、反省の意をお伝えして示談交渉を行います。
結果、示談が成立する可能性が高まり、また、事件も早期に解決することができるのです。
4.盗撮で検挙、逮捕されたら泉総合法律事務所へ
泉総合法律事務所は、様々な性犯罪の刑事弁護に取り組んでおり、所属弁護士のほぼ全員が刑事弁護に取り組んでおります。
盗撮に関しても多数の事件に取り組んでおりますので、盗撮で逮捕されてお困りの方やその家族は、松戸支店・柏支店など、お近くの泉総合法律事務所の支店にぜひご相談ください。
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