交通事故

子どもの高次脳機能障害|必要書類の「学校生活の状況報告」について

交通事故で脳神経が損傷し、日常生活で判断や行動をするための「高次脳機能」が低下することにより、生活に支障が生じてしまう「高次脳機能障害」。

お子様が高次脳機能障害になってしまったときに、その後遺症についての損害賠償を請求するために必要な書類の一つが「学校生活の状況報告」です。
担任の教師、場合によっては事故前と事故後の二人の担任に作成してもらいます。

家庭を離れて集団生活を送る学校生活での支障は、お子様の将来の障害による悪影響を判断する重要な材料となります。

ここでは、「学校生活の状況報告」について、何をどうやって報告するのか、どのように担任に作成してもらえば良いのかを説明します。

1.学校から報告してもらう内容

学校生活の状況報告で担任に記載してもらうお子様の高次脳機能障害の症状は、主に、「勉強での問題」「要領の悪さなど」「人間関係」の3つです。

(1) 勉強での問題

お子様が将来進学して就職していくうえで、やはり以下のような勉強への悪影響は見逃せません。

  • 記憶力の低下により、学習そのものに支障が生じる
  • 判断力や理解力の低下のせいで、教科書の内容が分からずテストの問題が理解できない
  • 気が散って集中しにくくなり、授業についていけなくなる

(2) 要領の悪さなど

とはいえ、世の中を生き抜いていくうえで、問題となるのは勉強だけではありません。

高次脳機能障害の中でも幅広い問題を引き起こす生活の中でものが、「遂行機能障害」などの行動に関わる障害です。

たとえば、以下のようなものです。

  • 計画性がなく、テストの前半だけしか解けず後半が真っ白
  • 物事の手順や段取りが悪く、図工や家庭科の課題をこなせない
  • 体の動きがぎこちなくなり、体育で縄跳びや鉄棒が苦手になる

日常生活はもちろん、普段の生活や将来の仕事でも、スムーズに物事を処理することが難しくなってしまいます。

(3) 人間関係

お子様が精神的に成長し豊かな人生を送るうえでは、友人関係を深くまた広く作っていくことは不可欠です。

ところが、高次脳機能障害になると、他人とうまく一緒にやっていくことができなくなります。

  • 感情を抑えられず、すぐに怒ったり泣いたりする
  • 態度や言葉が乱暴になる
  • 相手の気持ちがわからず自分勝手になる

また、修学旅行や運動会などの学校行事に積極的に参加しているでしょうか。
高次脳機能障害は、自分から進んで行動すること、他人と協調して動くことにも問題を引き起こすことがあります。

集団行動をできるかどうかは、お子様が社会の中で生き抜いていくうえでとても大切なことです。

クラスメイトとの関係や学校行事への関わり方の様子は、高次脳機能障害による将来の社会性全般への悪影響を測るうえで重要な指標になります。

2.報告の注意点

後遺障害の審査機関への報告内容のポイントは「いつ」「だれが」「なにを」「どうやって」「どうなったのか」を明らかにしたエピソードを豊富に記載することです。

審査機関が用意している書式だと記載項目が小さいため、文書を別紙として添付してもらいましょう。

(1) 書式とは別の用紙に記入してもらう

後遺障害の審査・認定機関である「損害保険料率算出機構」は、「学校生活の状況報告」という書式を公開しています。

しかし、これを担任に渡すだけでは、適切な報告書を作ってもらうことは期待できません。
担任にお子様が学校生活の中でどのような症状が生じているのかを説明するには不十分な点が多いのです。

そこで、以下の項目を参考に記入してもらうことをお勧めします。

(2) トラブルが生じた場面を描き出す

高次脳機能障害の症状の内容や程度は、周囲の環境や人間関係、日常生活の様子と切り離して語ることができません。

  • 授業中に仲の良い友達とおしゃべりが止まらない、いたずらをする。
  • 給食の時間に食べ物をこぼしてしまうことが多くなった。
  • 運動会の練習をサボり、クラスメイトから指摘されると泣き喚いて暴れた。

このように、お子様の問題となる言動だけでなく、トラブルを起こしてしまった場面や相手について、時系列順での物事の流れを記載することで具体的な支障が分かります。

特に周囲からのサポートの内容についても書くようにお願いしてください。

子どもはもともと家庭でも学校でも大人から生活や人間関係について様々な援助を受けて成長しています。

手助けをしても本人が嫌がってうまくいかないなど、援助により生活への支障が緩和されていないのであれば、そのことも報告書に書いてもらいましょう。

(3) 事故前後の担任に作成してもらう

高次脳機能障害の症状は、「事故前と比較して」生じている日常生活の支障です。
どのようなことがどれだけ、「事故前はできていたけれどもできなくなったのか」を報告します。

ところが、子どもの場合、事故から申請まで時間がかかるため、担任が代わってしまうことがあります。

子どもは回復力が強く、障害になっても高次脳機能は発達します。
進級や進学で勉強が難しくなってついていけなくなったり、新しい友人が作れなくなったりして、症状の重さがはっきりわかることもあるでしょう。

このように、症状の判断がとても難しいため、症状回復が見込めない「症状固定」だと診断されるまで、時間がかかってしまいがちです。

報告書の中では事故前後の担任双方に事故を境にお子様にどのような異変が生じてしまったのかを記載してもらうことになります。

いずれかの担任とだけ連絡をしていては不十分です。事故前の担任と今の担任との間で、どこが変わっていないのか、どこが違っているのか、認識のずれを明らかにすることができるようにしてください。

3.まとめ

適切な後遺障害等級認定を受け、充分な示談金を手に入れるには、症状をできる限り具体的に明らかにする必要があります。

まだ働いているわけではないお子様の症状を明らかにするには、学校生活でのトラブルや異変をつぶさに観察できる担任と連絡を取り、症状固定のときに事故前には無かったどんな問題が生じているのかを学校生活の状況報告に記載してもらうことが大切です。

とはいえ、学校の教師はとても忙しく、何十人もの子供の相手をしています。
家庭での違和感をもとに、お子様が学校でどのような問題を起こしているだろうか推測しながら、しかしミスリードしないようにしつつ、できる限り具体的なエピソードを報告書にまとめてもらわなければいけないのです。

弁護士なら、お子様の具体的な症状に応じて、どのように担任に報告書を作成するよう伝えればよいのかアドバイスをすることができます。

交通事故に精通した弁護士は、これまで数多くの高次脳機能障害の被害者様を助け、専門的な文献を調べては裁判所の判断を確認しているからです。

認定後の保険会社との示談交渉では、保険会社は症状がさほど重くはないと損害賠償金を低く抑えようとしますし、裁判所も高次脳機能障害については慎重な立場です。
証拠集めの段階で弁護士に相談・依頼して、専門的知識に基づくアドバイスを受けることをお勧めします。

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