弁護士費用特約とは何か?メリットと活用方法について
交通事故に遭ったら使わないと損です!弁護士費用特約の使用率はたったのo.o5%
弁護士費用特約という言葉を聞かれたことのある人もいると思います。
簡単にいうと、交通事故に遭って損害賠償請求をするために弁護士に依頼する場合に、弁護士費用を自分の保険会社が負担してくれるという、自動車保険などについている特約です。
この特約が保険についている人は多いといわれていますが、うまく使えている人はそれほど多くはないようです。
ここでは弁護士費用特約とは何か、そのメリットについて説明していきます。
このコラムの目次
1.弁護士費用特約とは
弁護士費用特約があれば、弁護士費用の負担が0円になります。
そもそも弁護士費用特約とは、自動車保険(任意保険)に付けておける特約で、その任意保険の契約者やその家族、また、契約している車に搭乗中の人などが、交通事故に遭ったとき、弁護士に相談・依頼する場合に、法律相談費用や依頼した場合の弁護士費用を、保険会社が支払ってくれるものです。
この弁護士費用の中には、通常、郵送代や弁護士の交通費、訴訟費用などの実費も含まれます。
通常、弁護士費用は、300万円以内、法律相談費用は、10万円という上限が設けられています。
なお、弁護士費用特約は、自動車保険以外にも、火災保険や医療保険等にもついている場合がありますので、交通事故の被害にあった場合には、自動車保険だけではなく、自分が加入している保険に弁護士費用特約がついていないか、確認してみた方がよいでしょう。
2.弁護士費用特約のメリット
- 弁護士が相手方保険会社との示談を代行してくれる
- 調停や訴訟になった場合にも弁護士に任せられる
- 弁護士基準によりもらえる賠償金額が大幅にアップする可能性がある
- 自分で弁護士を選ぶことができ、変更もできる など
(1) 示談交渉・調停・訴訟を任せられる
交通事故に遭って、自分の側にも過失があるような場合には、保険会社が示談を代行してくれます。
しかし、停車中の追突事故など、交通事故の原因が一方的に相手方にあり、自分に過失が全くない事故の場合(いわゆるもらい事故の場合)には、保険会社が相手方と示談交渉することは認められていません。
そのため、自分自身で相手方(任意保険会社)と示談交渉を行わなければなりません。
自分1人で相手方と交渉し、自分の正当な利益を実現した示談を成立させることは、容易ではありません。
このようなときのために、弁護士費用特約が用意されているのです。弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用を負担することなく、弁護士に示談交渉を代行してもらえます。
また、調停や訴訟になった場合にも、弁護士に任せることができます。
(2) 持ち出しなくもらえる損害賠償金がアップする
弁護士に依頼をすれば、ほとんどのケースで損害賠償の金額は上がります。
任意保険会社が一般の被害者の人に提示する損害賠償の金額は、任意保険基準と言われる基準によっています。しかし、その基準は、弁護士が請求する場合の基準(弁護士基準、裁判基準ともいわれます。)よりもかなり低い基準になっているからです。
弁護士に依頼すると、数倍などといった大幅なアップが実現できる場合も少なくありません。
弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用の負担をすることなく、賠償金額の増額という利益だけを受けられるのですから、大きなメリットであるといえるでしょう。
また、軽微な物損事故や軽い怪我のケースでは、もともとの損害額が大きくないので、弁護士に依頼してアップする金額もそれほど大きくはならないということもあります。
そのようなケースで弁護士に依頼すると、弁護士費用を支払うということを考えるとそれほど特にならないということも起こり得ます。
このようなときに、弁護士費用特約を利用すると、弁護士費用を負担する必要がないので、弁護士費用を気にすることなく、たとえ少しの金額のアップのためにでも、気軽に弁護士に依頼することが可能になるのです。
(3) 保険の等級に影響はない
自動車保険では、交通事故を起こすなどして等級が下がると、保険料が上がってしまいます。
弁護士費用特約を利用した場合にも、この等級が下がるんじゃないの?という疑問をよく聞きます。
しかし、弁護士費用特約を利用するだけでは、等級が下がることはありません。そのため、弁護士費用特約を利用するのに特段のデメリットはありません。
このように、気軽に利用することができるというのも、弁護士費用特約の大きなメリットのひとつといえます。
(4) 自分で弁護士を選ぶことができる
弁護士費用特約を利用する場合には、保険会社から紹介された弁護士しか利用できないと思われている人も多いようです。
しかし、実際には、自分で好きな弁護士を選ぶことができるようになっています。
もちろん、どの弁護士に依頼してよいのかわからないから保険会社に任せようと考える場合には、保険会社は弁護士を紹介してくれることもあります。また、弁護士会を通じて弁護士を紹介するシステムもあります。
ですが、保険会社が紹介してくれる弁護士の場合、通常損害賠償金を支払う立場にある保険会社(被害者の相手方)の顧問であることも多いですので、そのことが気になる人もいるようです。
自分で弁護士会社や自治体の法律相談へ行ったり、インターネットで探したり、知り合いの弁護士に相談してみたり、どのような方法で弁護士を探しても、弁護士費用特約は利用可能なので、余裕があれば、まずは自分で弁護士を探してみてもよいと思います。
(5) 相手方が無保険の場合に費用倒れを気にしなくてよい
交通事故の相手方が無保険の場合、任意保険に加入している場合と異なり、示談交渉の相手方は相手方本人になってしまいます。
保険会社であれば、交渉には応じてもらえますし、示談が成立すればその金額を支払ってくれます。しかし、本人の場合、多額の損害賠償金をすぐに支払えることはほとんどありませんし、損害賠償請求を無視して交渉にも応じないというようなことも少なくありません。
このような場合、裁判を起こして強制執行をするしかない、ということも多いですが、その際には、弁護士に依頼せずに進めるのは困難です。
ですが、相手方が保険会社ではなく本人の場合、たとえ訴訟で勝訴したとしても、実際にお金を回収することができないというようなこともあり得ます。
そうなると、弁護士費用を支払った分損をしてしまう可能性もあるのですが、弁護士費用特約を利用すれば、持ち出しなく裁判を起こすことができるのです。
この点も、弁護士費用特約の大きなメリットであるといえるでしょう。
(6) 弁護士費用特約の費用は高くない
保険会社によって異なりますので、一概にはいえませんが、弁護士費用特約を付けるための保険料は、月に200円もしないことも多いです。
ところが、いざ交通事故の被害にあってしまった場合には、弁護士を依頼することで、大きく損害賠償金額がアップすることになります。場合によっては、その上がり幅は、数百万円になることもあります。
そのことを考えると、弁護士費用特約の保険料は決して高いとはいえないでしょう。
(7) 途中で弁護士を変更することもできる
弁護士費用特約を利用して一度弁護士に依頼しても、頻繁にあることではないと思いますが、その弁護士との方針が全く合わなかったり、弁護士が仕事をしてくれなかったりということもあるかもしれません。
そのような場合にも、一定の金額の範囲内であれば、それまで依頼していた弁護士との契約を解約して、再度弁護士費用特約を利用して別の弁護士に依頼し直すことはできます。
ただし、別の弁護士に依頼する場合、また着手金を請求されることになりますので、弁護士費用の総額が増えてしまいますので、どこまで支払ってもらえるのか、別の弁護士に依頼しても大丈夫かなど具体的なところは、保険会社に事前に確認しておいた方がよいでしょう。
なお、もし保険金額の上限を超えたとしても、その部分だけを自分で負担するということも可能です。
3.弁護士費用特約が使えない場合
一般的に、以下のような場合には、弁護士費用特約で保険金が支払われないとされています。
なお、具体的には、それぞれの保険会社によって定め方は異なりますので、自分の保険会社に確認してみるのがよいでしょう。
- 被保険者の故意または重大な過失によって、その本人に生じた損害
- 無免許運転、麻薬などの影響で正常な運転ができないおそれのある状態での運転、酒気を帯びた状態での運転によって、その本人に生じた損害
- 闘争行為、自殺行為、犯罪行為によって、その本人に生じた損害
- 被保険者が次のいずれかの方に損害賠償請求を行う場合
・記名被保険者およびそのご家族被保険者の父母、配偶者または子
・ご契約のお車の所有者- 台風、洪水、高潮により発生した損害
- 被保険者が所有、使用または管理する財物に存在する欠陥、摩滅、腐しょく、さびその他自然の消耗
- 契約自動車の正規の乗車装置に搭乗していない場合や、極めて異常かつ危険な方法で自動車に搭乗中の場合
- 日常生活の事故など、自動車にかかわる事故ではない場合」 引用:おとなの自動車保険
例えば、交通事故の被害にあったけど、自分の赤信号無視や自分も飲酒運転だったというような場合には、弁護士費用特約は使えないことが多いです。
なお、上では、自動車にかかわる事故ではない場合は使えないとされていますが、後でも説明しますが、保険会社によっては、日常生活の事故など自動車にかかわらない事故の場合にも使える弁護士費用特約を用意している場合もあります。
(1) 自分に過失がある場合
先ほど、もらい事故の場合の弁護士費用特約のメリットについて説明しました。
それでは、自分に過失がある場合には、弁護士特約は使えないのでしょうか。
たしかに、保険会社によって弁護士特約が有益とされる典型的な例は、過失のないもらい事故のケースです。
しかし、自分に過失があっても、相手方にも過失があって損害賠償を請求するような場合には、弁護士費用特約を利用することはできます。(先に挙げたように、重過失がある場合には、使えないとされていることが多いです。)
ですから、自分に過失があるからといって弁護士に依頼することをあきらめる必要はありません。
(2) 自分が契約している車以外の場合
弁護士費用特約が使えるのは、自動車保険の契約書である自分の車に乗っている場合だけではありません。
例えば、バスやタクシーに乗っている際に被害にあった場合や、知人の車に乗っている際に被害にあった場合にも、相手方に損害賠償請求をするために弁護士費用特約を利用して弁護士に相談・依頼することができます。
(3) 自転車の事故
自転車が関係する事故としては、主に、
- 自転車対歩行者の事故
- 自転車対自転車の事故
- 自転車対車
- 自転車対バイクや原付の事故
の4つのケースが考えられます。
自動車の任意保険の弁護士費用特約は、自動車が関わらない場合には通常利用できません。そのため、1と2の場合には、自動車が関わっていないので、弁護士費用特約を利用することができません。
一方、3の場合には、自動車に関わる事故ですので、利用可能です。また、自動車には、バイクや原付も含まれていますので、4の場合にも、弁護士費用特約を利用することができます。
また、保険会社によっては、自動車に関連する事故の場合以外にも、広く、日常生活における事故において被害者や加害者になった場合にも利用できるような特別な弁護士費用特約を用意している場合もあります。
もしあなたの弁護士費用特約がこちらのものであれば、上記①や②のケースでも、弁護士費用特約を利用することができる可能性があります。
ずれにしても、事故にあった場合には、後悔しないように、自分が加入している保険会社に弁護士費用特約を利用することができるかどうか一度確認してみてください。
4.費用の心配はせず、まずは泉総合法律事務所へご相談を
このように、弁護士費用特約には、多くのメリットがあります。うまく使えば、非常に得になることもあります。等級が下がるなどのデメリットもありませんから、交通事故の被害にあった場合には、積極的に弁護士費用特約を利用することをおすすめします。
弁護士費用の負担がありませんから、費用倒れの心配をしなくてよいので、被害があまり大きくないなどということを気にする必要もありません。
弁護士費用特約がついている場合、法律相談費用も保険で支払ってもらえますので、まずは一度弁護士に相談し、弁護士を依頼すべきかどうかも含めてアドバイスを受けるとよいでしょう。
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