ギャンブルと自己破産-松戸市やその周辺で借金問題を抱えている方へ
「ギャンブルにはまってしまって借金が増えてしまった……」
このコラムを読んでいらっしゃる方の中には、このような悩みを抱えてしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。日本では、パチンコ、競馬、競艇、競輪など、数多くのギャンブルが存在します。また、現在カジノの設置についても立法の議論がなされており、今後このような悩みを抱える方は増加する可能性が高いと思われます。
そこで、ここではギャンブルにより借金が増加し、返せなくなってしまった方が、どのように債務整理を行うことが出来るのか解説していきます。
1.債務整理の種類
まず、日本における債務整理の種類についてみていきましょう。
ここではあくまで概要の説明のみをしてきますので、それぞれの詳細が知りたい方は、ぜひ当事務所の他のコラムをご覧ください。)。
(1) 任意整理
債権者との間に弁護士が入り、今後の返済プランについて立て直す交渉を行うという債務整理です。
今後の利息などをカットしてもらいながら、3~5年で返済するような計画を立てることが多いです。
(2) 自己破産
裁判所を通して、借金をゼロにしてもらう(これを「免責」と言います)手続きです。
その代わりに手持ちの目ぼしい資産については、手放して換価し、債権者に分配しなければなりません。
また、免責を認めてはいけない事由というのが法律上いくつか定められています。
(3) 個人再生
裁判所を通して債務の圧縮を図り、債務者の経済的更生を促す手続きです。
たとえば自宅不動産につき、住宅ローンを払いながら所持している人は、この手続きを使うことにより自宅を残しながら債務整理手続きが行えます。
圧縮の程度は金額にもよりますが、一般的には5分の1で、最低金額として100万円は支払わなければなりません。
これを原則3年(例外的に5年まで伸長可能。)で支払う必要があります。
2.ギャンブルによる借金の債務整理
それでは、ギャンブルにより借金を増加させてしまった人は、上記のどの手続きをとって行くべきなのでしょうか。
まず検討しなければならないことは、そもそも自己破産という選択を取ることができるのかという点です。
(1) 免責不許可事由
自己破産を規定する「破産法」では、前述のとおり、免責を認めてはいけない事由をいくつか規定しています(免責不許可事由)。
その中に、「浪費又は賭博その他の射幸行為」という項目があり、パチンコ、競馬や競艇といったギャンブルはまさにこれに該当します(今後設置されうる「カジノ」もこれに該当することは間違いないでしょう)。
そうすると、一見するとギャンブルによる借金について、自己破産はできないのではないかとのように思われます。
しかし、破産法では、裁判官がその裁量により、「この破産者については免責を認めてもよい」と判断すれば、例外的に免責を認めることができる、との規定があります。これを「裁量免責」といいます。
たしかに100%免責が認められるというわけではないので、一定の免責不許可のリスクは存在しますが、他の債務整理手続きがとれない場合や、債務者の意思としてこのリスクを負ってでも自己破産を申し立ててみる、という場合には自己破産の手続きを選択することも可能というわけです。
(2) その他の手続き
上記のようなリスクを負いたくない、という場合には残りの二つの手続きのいずれかを選択するということもできます。
たとえば、ギャンブルで180万円の借金を背負っていしまったという方がいたとします。任意整理はあくまで債権者との交渉なので、100%ではないですが、一般的には3年(36回払い)~5年(60回払い)でこの支払いをする計画をたてるとすると、概算で月額3~5万円が必要という計算になります。
これに対し債務者が借金返済に月額6万程度捻出可能、ということであれば任意整理を選択することも可能です。
また、個人再生の場合、支払う金額は100万円となりますので、これを3年で返済すると月額3万円が必要となりますが、この月額が捻出可能であれば個人再生を選択することも可能です。
任意整理は他の手続きと異なり、債権者の合意がほぼすべてですので、ギャンブルの借金でも月額の捻出が可能であれば選択が可能というわけです。
また、個人再生は、裁判所を通す手続きという点で自己破産と同じですが、自己破産における免責不許可事由のような、個人再生を認めてはいけない事由というのものは存在しないことから、同じく月額の捻出が可能であれば基本的に選択することができます。
3.実情
以上をまとめると、任意整理や個人再生を選択することはできるが、月額の捻出が不可能という方は自己破産の選択をせざるを得ないということになります。
それでは、免責不許可となるリスクはどれほどあるのでしょうか。
弁護士の経験から言うと、実際に免責不許可になることはほとんどありません。一般的にも、ギャンブルによって多大な借金を背負ったにもかかわらず、自己破産の手続きに非協力的な場合などに免責不許可の決定が出されてしまうというように言われています。
弁護士が経験した事案でいうと、競馬やパチンコで1000万円を超える借金を作ってしまった破産者につき、その10%にあたる金額を裁判所のもとで積立をし、これを債権者に分配することで許しをもらい、免責を許可してもらったということもありました。
大きな裁判所ではあまりとられない方法のようですが、小さい支部などではこのような手法をとることもあるようです。
また、家計表を継続的に提出し、経済的更生をきちんとはかれていることを示したり、反省文を提出したりすることで免責が許可されるということもありました。
この辺りは、実際の自己破産の手続きの中で、裁判所や管財人(裁判所の手足となり破産者の財産や借入理由などをチェックする弁護士)の指示にきちんと従い、自らの反省と更生をきちんとアピールすることが大事です。
4.まとめ
以上、ギャンブルと自己破産についてその概要を説明してきましたが、実際どの手続きを取ればよいのかは難しい問題です。少しでも早く弁護士に相談することをお勧めします。
松戸市、柏市、鎌ケ谷市、流山市、JR常磐線・新京成沿線にお住まい、お勤めの方で、債務整理を検討している方は、是非泉総合法律事務所松戸支店の無料相談をご利用ください。
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