個人再生したい!メリット・デメリットとは?
借金が返せなくなった場合でも、様々な方法で問題を解決することができます。
債務を0にする「自己破産」などは有名な例かもしれません。
しかし、自己破産について調べていくうちに、財産の処分等、自己破産には様々なデメリットがあると知る人も少なくありません。
何か別の方法はないか、と更に調べた結果、「個人再生」という手続に行き着く人が多いようです。
ただし、この個人再生は利用する人がそれほど多くないせいか、どのような効果が得られるのかを知らない人も見受けられます。
この記事では、個人再生の概要やメリット・デメリットについて述べていきます。
返しきれないほどの借金がある人や、個人再生を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
このコラムの目次
1.個人再生とは?
個人再生は、裁判所に申立てを行って、借金を大きく減額してもらう手続です。減額幅はかなり大きく、借金が10分の1になるケースもあります。
減額されて残った借金は、原則3年程度かけて毎月少しずつ返済していきます。
このため、借金の返済が一気に楽になり、生活の質を大きく改善させることも不可能ではありません。
裁判所から「再生計画認可決定」が出されれば、後は再生計画に則って、各債権者が指定した口座に毎月入金して返済を行います。
個人再生は「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」に分かれています。
給与所得者等再生は、利用できる人の条件が厳しく、最終的な返済額が上がってしまう可能性があります。
その代わり、債権者の意向を気にしなくて済むという利点があります。
このため、基本的には小規模個人再生を選択し、債権者の反対が見込まれる場合には給与所得者等再生に切り替えるのがいいでしょう。
2.個人再生のメリット
ここからは個人再生のメリットについて紹介していきます。
(1) 借金の大幅な減額
個人再生に成功した場合、債務総額にもよりますが、借金を5分の1~10分の1にまで減額できる可能性があります。
実際には、債務総額だけでなく、債務者の保有する財産の清算価値(仮に自己破産をした場合に処分される手持ちの財産の価値)や、可処分所得の額などに左右されるので、具体的にどのくらいまで減額される見込みがあるのかはケースバイケースです。
弁護士に相談して事前に確認しておきましょう。
(2) 財産が(原則)処分されない
自己破産をすると一定額以上の財産は手放すことになりますが、個人再生では基本的に財産を手元に残せます。
例外的に自動車ローン支払い中の車などは、個人再生をすると債権者が自己の所有権に基づいて回収する可能性が高いため、残すことができなくなります(ローン支払い中はまだ債権者に所有権があるため)。
上記の通り、ローン支払中の物品は債権者に回収される危険性がありますが、個人再生においてのみ、住宅ローンに関しては通称「住宅ローン特則」という特例があります。これを利用した場合、住宅ローンの支払いを従来のまま続けることを条件に、マイホームに住み続けることができます。
支払額は増えてしまいますが、住宅を失わなくて済むのは大きなメリットでしょう。実際に、マイホームを残すために個人再生手続きを選択する人も多いです。
(3) 強制執行を防げる、または解除できる
返済を滞納して財産の差し押さえを受けそうな場合は、個人再生をすることで差し押さえを免れることが可能です。
また、既に差し押さえを受けている場合でも、個人再生により差し押さえが解除されます。
例えば、給与の差し押さえを受けると手取り額が減ってしまうため、差し押さえを阻止できれば収入を維持することができます。
3.個人再生のデメリット
メリットの裏にはデメリットがあるものです。
最後に、個人再生のデメリットについてもご紹介します。
(1) 返済義務が残る
大幅に借金を減額してもらえるとは言え、個人再生は「返済」が前提となる手続です。
途中で返済ができなくなると個人再生そのものが無効となる可能性があるので、返済を続けられるように現実的な計画を立てる必要があります。
(2) 条件が厳しい
個人再生は、利用できる人の条件が色々とあります。
一番厳しいのは、定期的な収入に関する条件かもしれません。
(1)の通り、個人再生では返済義務が残るため、個人再生後の返済能力が厳しく審査されます。
正社員でなくても定収入があれば大丈夫ですが、単発バイトを繰り返しているような場合は許可が得られない可能性が大きいです。
年金生活者の場合も、老齢年金受給者であれば問題ありませんが、障害年金の場合は、障害が改善して年金がもらえなくなる可能性があるため個別に判断されます。
その他、自営業者の場合なども個別に判断されるため、実際に個人再生ができるかどうかはケースバイケースです。
弁護士に相談して、見込みを教えてもらいましょう。
(3) 提出書類が多く手続きが煩雑
個人再生には多くの書類が必要で、しかも手続が煩雑です。
また、「履行テスト」といって、再生計画の認可前に、再生計画が認可された場合に実際に支払っていく金額と同程度の金額を3~6か月程度にわたって積立させ、本当に返済が続けられるのかを事前にチェックする制度があります。
自己破産や任意整理と比べた場合、かなり手間がかかるのは確かです。
(4) 保証人に迷惑がかかる
これは自己破産でも同様ですが、個人再生の効果は債務者本人にのみ生じます。
保証人の支払義務は従前のまま継続するので、債権者は保証人に支払いを請求することができるのです。
事前に保証人に話を通しておくなど、トラブルを避けるための方法を考える必要があります。
(5) 官報・ブラックリストに載る
これも自己破産同様のデメリットですが、個人再生をすると住所と氏名が官報という国の機関紙に掲載されます。
官報を日常的に読む人はほぼいませんし、大量の記事に紛れてしまうため通常は官報が原因で他人に知られることはありません。
ただし一部の悪徳業者(闇金)などは官報をチェックしており、自己破産や個人再生をした人に「お金を貸してあげますよ」などと言い寄る手法をとっています。
念のため注意しておきましょう。
また、個人再生をすると「信用情報機関」に事故情報が登録されます(このことを俗に「ブラックリストに載る」と言います)。
その結果、5年〜10年間はローンの審査に落ちてしまう他、新たにクレジットカードを作ることができなかったり、カードの更新の審査に通らなかったりするでしょう。
4.個人再生のメリット・デメリットも弁護士が詳しく説明します!
個人再生には数々のメリットとデメリットがありますが、それが実際にどのような影響を及ぼすかは、債務者の状況によって異なる可能性があります。
現実的に何が起こり得るかは、弁護士に聞いて確認するのが効果的です。
弁護士は、個別のケースにあわせて対応してくれる心強い味方です。
借金で不安なことがあれば、ぜひ泉総合法律事務所の弁護士までご相談ください。
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